NFV に適した企業文化の構築

サービス プロバイダが仮想化と自動化を最大限に活用するには、組織を進化させる必要がある

コミュニケーション サービス プロバイダがサービスをハードウェア アプライアンスからソフトウェアに移行すれば、コストの削減と新たな収益の可能性の発見が期待できるでしょう。これは、企業がサービスを数日、ときには数時間や数分で導入できるようになったためです。企業は、サービスを迅速に市場に投入し、カスタマー サービスに対する要求にオン デマンドで対応することができます。

このようなメリットがネットワーク機能仮想化(NFV)と深く関係する Software-Defined Networking(SDN)を実現する技術の導入を正当化することには、多くの人が賛同しています。しかし、どうすれば導入できるのでしょうか。

NFV の価値をすべて引き出すには、組織の変更も視野に入れる必要があります。業務プロセス、ワークフロー、スキルセットを適合させて、従来よりも迅速な新しい方法でサービスを提供し、顧客に対応する必要があります。これまでも求められてきたものですが、スキルの更新は NFV への移行に不可欠な要素となっています。最近の IHS の調査から、世界の大手通信事業者の多くが、社内に NFV の専門家がいないために、NFV の商用化をためらっていることが判明しました。

こうした変化は、御社の従業員の役割と責任、そしてあなたのチームのインタラクションにもいずれは影響を与えることになるでしょう。その最終的な結果が、企業文化の大規模な変革です。

DevOps の検討から始める

変革を始めるための最も効果的な方法は、サービスの開発、テスト、提供するための IT のアプローチとして DevOps を採用することです。DevOps によって、ソフトウェア開発者、オペレータなどの IT 技術者間に強力なコラボレーションが生まれます。サイロが破壊され、サービスの提供が迅速化し、フィードバックが継続的に繰り返し行われ、持続的な改善と品質管理が可能になります。

DevOps 環境では、従来のウォーターフォール開発ではなく、各部門が対話しながら並行して作業を行います。ウォーターフォール開発は、回転の速い仮想化ビジネスの世界では廃れてゆくことでしょう。ウォーターフォール モデルでは、開発とテストに時間がかかります。サービスを提供する時点までに顧客の要件が既に変化していることが、よく起きます。

一方、DevOps では開発者と運用スタッフが参加して一緒に作業を行います。彼らは、アクションを実行し、問題を修正しながら、リアル タイムにアイデアを共有し、集団として決定を行って、サービスを市場に投入する期間を大幅に短縮できます。

変革の実行

仮想化と DevOps の組織全体に対する影響に対して準備しておくことは、移行を始めるための賢明な方法です。これはプロセス、役割、スキル、文化といった重要な 4 分野の変革を計画することを意味します。

プロセス:NFV 環境ではサービスの開発と提供の方法が変わるため、新しい業務プロセスを検討すべきです。次がその例です。

  • どのようにして、仮想リソースの「在庫管理」をするか

  • 仮想的に提供されるサービスをどのように保証するか

  • コンピュート リソースの利用状況をどのように管理するか

  • サプライヤのビジネス モデルを変更することで、どのような影響があるか

  • カスタマー サポートはどのように変わるか

  • 課金と価格設定の新しいポリシーはどのようなものか

以上の影響を理解し、最適で合理的な業務プロセスを構築して対応することが重要です。自動化とソフトウェアの制御を容易にサポートできる方法で、これらのプロセスを事前に整えましょう。

役割:自動化された仮想化環境では、役割間の明確な境界がなくなり、以前はさまざまな専門職が個別に行っていた職務が分解し、責任が共有されるようになります。このような変化は従来の経営幹部の役割にどのような影響を与えるでしょうか。重要なのは、調整された役割と責任を明確化し、新しい職務への移行とその順守に対する責任を明確化することです。

役割の変化には、次のような例があります。

CTO はより未来に目を向け、次の 3 つの点について新たに責任を引き受けます。

  • 規格の開発および技術戦略と評価

  • 新技術の採用がビジネスとネットワークに与える影響

  • レガシー要素の移行(NFV へ移行する調整機能を含む)

CIO は運用を重視します。CIO の新しい責任には、サービスの遂行と保証、ソフトウェア アーキテクチャの開発、DevOps の監視、自動化による人件費の削減と生産性の向上などがあります。

CMO は顧客の要件への対応における柔軟性の重要度を上げます。CMO は CIO 組織と緊密に連携して、サービスの俊敏性を高める必要があります。重要事項は、基本的な接続の提供から、ソリューションおよびサービスの提供とマーケティングへと移行します。

スキル:NFV の登場に伴い、ソフトウェアのスキルが進化して、技術スタッフの新しい役割が生まれています。DevOps を採用すると、ネットワーク サービスにクラウド サービス モデルを使用できます。このことから、サービス プロバイダの組織には次の新しい役割が必要になります。

  • IT システム エンジニア / IT ゼネラリスト:広範囲にわたる NFV コンピテンシを含め、仮想スタック全般の責任を担います。

  • SDN エンジニアリング:下位レベルのエンジニアリング スキルと設計スキル、フロー アーキテクチャの設計および管理など。

  • クラウド オーケストレーション:ブローカー機能やクリアリングハウス機能を提供するサード パーティを含みます。

  • パートナーおよびチャネル ビジネス開発:サード パーティ製サービスをカスタマー ソリューションの一部にすることができる API で確立されます。

社内的には、サービス プロバイダの企業文化(DevOps モデルでの IT 部門の作業を含む)に、イノベーション中心の考え方を採リ入れ、主力ビジネスの一部として定着させる必要があります。次のようなことも、進化した企業文化の主な特性として挙げられます。

  • 実験的試み:「ベータ」モードで新規サービスを立ち上げ、サービスの立ち上げには早期に失敗して対応するための「ファスト フェイル」アプローチをサポートする環境作りをします。

  • 人材の確保と維持:新しい人材採用方法を開発し、若い専門家を採用します。

  • 従業員の能力開発:ソフトウェアと「アジャイル開発」手法のスキルを習得させます。

  • 説明責任:失敗を回避しようとする現在の考え方を改め、失敗を受け入れる考え方に発展させます。

包括的なアプローチの採用

このような変更は大変に思えるかもしれませんが、すべてを一度に行う必要はありません。ジュニパーでは、NFV の導入を開始する場合に、まずお客様の組織に必要とされるすべての変更を詳細な図面にすることをお勧めします。その後で、プロセス、ツール、スキルセットに他の調整が必要かどうかを見極めるために、NFV パイロットを実施することを検討します。変革を容易にするために、ジュニパーのプロフェッショナル サービスを利用して、NFV と SDN の採用方法を比較し、さまざまなアクティビティの計画、管理、実行に役立つ実例と知識を得ることができます。

現在、業界内の NFV に関する議論は、サービス プロバイダの進化したツールキットがもたらす技術的メリットを中心にして行われています。しかし、(技術および組織の変革と同様に)ビジネスの変革に包括的なアプローチを受け入れているサービス プロバイダは、NFV の可能性を確実な収益に転換することに大きな成功を収めることでしょう。

NFV およびそのサポートに適した企業文化の構築方法については、この記事のリソースを参照してください。