ネットワーキングにおけるアクセスポイントとは?

ネットワーキングにおけるアクセスポイントとは?

アクセスポイント(AP)とは無線ネットワークと有線ネットワークの橋渡しとなるネットワークデバイスに使用される用語です。消費者向けAPは、インターネットルーターとファイアウォールの両方として機能するため、通常は「無線ルーター」と呼ばれます。商用および産業用APでは、ネットワークルーティング機能が最小限に抑えられる傾向にあり、ほとんどの場合ファイアウォールはありません。

ほとんどのAPはWi-Fi規格を使用して無線ネットワークに接続しますが、最新の商用および産業用APでは、BluetoothやThread無線規格にも対応したものが増えつつあります。これにより、商用および産業用APで、人間主体のデバイスとモノのインターネット(IoT)デバイスの両方がサポートできるようになります。

消費者向けAPと商用および産業APの違いは、ネットワークの規模を使って簡単に説明できます。消費者向けAPは、通常、家庭内の唯一のネットワークインフラストラクチャとなるように設計されています。ホームネットワークをインターネットに接続し、ベーシックなセキュリティ防御を提供し、およそ10台ほどのネットワーキングデバイスをサポートする必要があります。

これに対して、商用および産業APでは、通常、単一のAPで提供できる範囲よりも物理的に大きなエリアをカバーする必要があり、常に数十台または数百台におよび無線クライアントを同時にサポートする必要があります。商業および産業用APは、主に無線デバイスが組織の有線ネットワークにアクセスできるようにするために使用されており、情報セキュリティやインターネットルーティングなどの高度なネットワークサービスは、他のデバイスで処理されます。 

 

アクセスポイントで解決される問題とは?

最も根底にあるAPの基本的な目的は、無線デバイスにネットワークアクセスを提供することです。しかし、これは「トラックの目的は物品を移動させることだ」と言うようなものでしょう。APは25年以上前から存在しています。この間に、進化するユースケースに対応するために、その機能は成熟してきました。その結果、APと呼べる妥当な機能を備えたデバイスの価格帯は、1台あたり100米ドル~数千米ドルになりました。

最新のAPは、無線デバイスを有線ネットワークに接続する際の問題を解決するだけのデバイスではありません。最新のAPは、無線デバイスを有線ネットワークに安全に接続する必要があり、この安全な接続を、少数のクライアントを持つ単一のAPから、数百万台の無線クライアントに対応する数千台のAPで構成された国際的な展開で実現する必要があります。

消費者向けAPはインターネットサービスプロバイダ(ISP)によって管理されることが多く、商業および産業向けAPは企業のIT部門で管理されるのが一般的です。APの管理方法、APに搭載されている特定のソフトウェアやネットワーキング機能、APがサポートする無線プロトコルの数や規格などによって、APに求められるハードウェアの性能が決まります。

アクセスポイントには多くの役割があります。消費者向けAPは通常、個々の家庭をインターネットに接続する役割を担っています。商業用APは通常、多数存在する個人だけでなく、増え続けるIoTデバイスをインターネットに接続する役割も担っています。高度な商用および産業用APの場合、Bluetoothタグなどで、無線デバイスの位置追跡にも利用できます。APの中には、異なる規格を採用している複数の無線ネットワークをブリッジするものもあります。

 

アクセスポイントの仕組みとは?

APは、1つ以上の無線通信、搭載されているコンピュータ、そして少なくとも1つの有線ネットワークポートで構成されます。APに搭載されているコンピュータは、1つまたは複数の公的規格に従って、無線通信を使用して電波を発したり聞いたりします。これにより、APは、同じ無線周波数で同じ規格を話す他のすべてのデバイスと通信することができます。その後、搭載されているコンピュータが、その無線ベースの無線ネットワークと、有線ネットワークポートを使用している1つまたは複数の有線ネットワークとをブリッジングします。

ほとんどの消費者向けAPは、家庭内で唯一の物理的なネットワークインフラストラクチャとなるように設計されています。これらのAPは通常、ISPからお客様に提供されており、非常に手頃な価格に設定されています。消費者向けAPには多くの機能が備わっていますが、大きなネットワークスループットや大量の同時接続デバイスには対応できません。

商業および産業用APのアプローチはこれとは異なるもので、通常は拡張やネットワークセキュリティ向けに最適化されています。拡張向けに最適化されているため、APに多くのアンテナが組み込まれており、より多くの無線クライアントに対応するか、同じ台数のクライアントにより高い平均スループットで対応できます。より多くのアンテナをサポートするため、より複雑な無線通信または複数の無線通信、あるいはその両方が必要となります。通常、拡張向けに最適化されているAPのCPU(中央処理装置)は、一般的な消費者向けAPで使用されているものよりも、大幅に性能が向上しているはずです。

商用および産業用APで最適化されているもう1つの側面がネットワークセキュリティです。商用および産業用ネットワークは、ネットワークに接続されたデバイスのグループ間に情報セキュリティの境界を設けて、セグメント化される傾向があります。商用および産業用APでは、管理者のトラブルシューティングや情報セキュリティの作業を容易にするために、ネットワークの異常を検知するAI(人工知能)機能を搭載するケースが増えてきています。

最新のAPでは、異なる周波数で動作する多くの無線通信を持つことができます。Wi-Fi無線規格では、2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯で動作することができます。Bluetoothは2.4GHzを採用しており、ThreadやZigbeeなどの複数のIoT規格でも2.4Ghzが採用されています。

ほとんどすべてのAPがWi-Fi無線規格をサポートしており、多くの商用および産業用APも今ではBluetoothをサポートしています。他のIoT無線規格に対するサポートはより稀になりますが、Matter 2.0規格とそれに関連するThread IoT無線規格を幅広く業界がサポートしているため、2023年からは劇的に増加すると予想されます。

家庭や企業にスマートデバイスが普及するにつれ、APの役割は、単にノートパソコンやスマートフォンをネットワークに接続するだけのものから進化しています。APでは、無線周波数のローカル管理がますます重視されており、無線で通信する必要のあるユーザーの周辺にあるものすべてを識別し、接続して、安全にやりとりする能力を提供します。そのためには、高性能なコンピュータの搭載と、それに匹敵する高機能なソフトウェアが増々必要となります。

 

ジュニパーによるアクセスネットワークの導入

ジュニパーネットワークスでは、あらゆる企業、キャンパス、サービスプロバイダのニーズを満たすために、拡張機能を備えたオープンかつインテリジェントなアクセスポイント(AP)の強固なポートフォリオを築いています。すべてのジュニパーAPが、Wi-Fiと無線規格をサポートしています。一部のモデルにはIoTサポートも備わっています。

 

補完技術

ジュニパーのアクセスポイントに含まれるその他の技術およびソフトウェアは、以下の通りです。

 

トライバンドWI-FI

ジュニパーAPの中にはトリプルバンド無線を採用したものもあり、2.4GHz、5GHzまたは6GHz、あるいはこれらすべての周波数帯で数百台の無線クライアントをサポートするものもあります。ほとんどの場合、Wi-Fiクライアントは、一度に1つの無線帯域上でのみAPに接続しますが 、一部のジュニパーAPには、同時トリバンド通信を使用する無線クライアントをサポートするために、特別に4番目の無線通信を搭載しているものもあります。

 

Juniper Mist Edge

Juniper Mist™ Edgeは、ジュニパーのマイクロサービスアーキテクチャをキャンパスに拡大して俊敏性を実現すると同時に、 エッジで新しいアプリケーションを有効にしながら、拡張できます。Juniper Mist Edgeは、Juniper Mist Cloudとその分散型ソフトウェアアーキテクチャを使用して、拡張性と耐障害性に優れた運用、管理、トラブルシューティング、分析を行います。これらの動作のすべてで、従来の無線コントローラは必要ありません。

 

Juniper Mist AI

Juniper Mist AIは、AI(人工知能)、機械学習、データサイエンス技術を組み合わせて、ユーザーエクスペリエンスを最適化し、無線アクセス有線アクセスSD-WANドメイン全体での運用を簡素化します。

データは、ユーザーエクスペリエンスにエンドツーエンドのインサイトを含めるために、Juniper MistアクセスポイントスイッチSession Smart™ルーターファイアウォールなど、多数のソースから取り込まれます。これらのデバイスはMist AIと連携し、自動されたイベントの関連付け、根本的原因の特定、Self-Driving Network™運用、ネットワークアシュアランス、事前対応型の異常検知などで、クライアントからクラウドまでのユーザーエクスペリエンスを最適化します。

 

仮想ネットワークアシスタント「Marvis」

仮想ネットワークアシスタント(VNA)「Marvis™」ではMist AIが採用されており、ITチームのエンタープライズネットワークとの通信と連携が変革します。自然言語処理(NLP)、対話型アシスタント、規定アクション、Self-Driving NetworkTMの運用、および統合型のヘルプデスク機能により、運用を効率化して、無線アクセス、有線アクセス、SD-WANドメイン全体でのクライアントからクラウドへのユーザー体験を最適化します。

主な機能:

  • 実用的な推奨事項を提供し、ユーザーが知る前に事前に問題を解決
  • 対話型アシスタントは、自然言語を使用してユーザーの意図を理解
  • AndroidとWindows向けのMarvisソフトウェアクライアントは、エンドユーザーのデバイスから直接イベントをキャプチャすることで作成されたネットワークのクライアントレベルのビューを表示
  • 検証済みMist AIドリブンのサポートにより、ユーザーが作成するチケットを最大90%削減
  • クライアント、デバイス、およびサイトレベルでリアルタイムのインサイトを提供し、トラブルシューティングを簡素化して、サービス品質を向上

さらに、ジュニパーネットワークスは、有線および無線アクセスネットワークの展開をサポートするその豊富な技術ラインアップが評価され、Gartner® Magic Quadrant™の 「エンタープライズ向け有線および無線LANインフラストラクチャ」部門において、最高水準のビジョンと最高水準の実行力と評価されました。

ついに、Wi-Fiが本来あるべき姿に

優れたネットワークエクスペリエンスに必要な効率性、耐障害性、可視性を獲得できます。誰もがJuniper Mist Wi-Fiに切り替えている理由をご覧ください。

アクセスポイントに関するFAQ

アクセスポイントとルーターの違いとは?

簡単に答えると、ルーターは異なるネットワークを接続するように設計されているのに対して、アクセスポイントは、デバイスを既存のネットワークに無線接続するように設計されています。

複雑なのは、消費者から見ると、APとルーターがしばしば同じものであるということです。商業および産業分野から見ると、APは技術的にはネットワークルーターの厳密な定義の範囲内に含まれるようなことを達成できることがよくありますが、そのように説明されることはあまりありません。これは、商用および産業用アクセスポイントは、単にクライアントを異なるネットワークに接続しているためであり、APレベルで行われるルーティングは、通常、APがVLANなどのネットワークセグメンテーションを処理しているだけに過ぎません。

AP、スイッチ、ルーター、ファイアウォールの違いは、この数十年にわたって曖昧になっています。私たちが別物として扱っているのは、ネットワークにおけるそれぞれの役割が異なるからです。これらの役割を複数(またはすべて)果たすことができるネットワーク機器も存在しますが、機器が実際に何に対して最適化されているかによって、最も頻繁に使用される方法と場所が決まります。ルーターはネットワークを接続します。APは無線デバイスを有線ネットワークに接続します。  

アクセスポイントの一例とは?

Juniper AP45は、最新の商用アクセスポイントの一例です。Juniper AP45は、チャンネル幅と容量の増加を求める企業に対して、6GHz帯のジュニパーAP43のパフォーマンスと特許取得済みの仮想Bluetooth® LE(vBLE)技術を提供します。Wi-Fi 6EのジュニパーAIソリューションは、セキュアでほぼリアルタイムのクライアントからクラウドへの自動化、インサイト、アクションにより、オペレータとユーザーのエクスペリエンスを最適化します。

AP45は、専用の第4の無線と動的16要素のvBLEアンテナアレイを搭載したトライバンドのデバイスです。バッテリー駆動のBLEビーコンや手動による調整を必要とせず、ユーザーエンゲージメントアセットの可視化接触者追跡など、業界で最も正確で拡張性の高い位置情報サービスを提供できます。

アクセスポイントのメリットとは?

アクセスポイントのメリットは、基本的に無線ネットワーク機器を有線ネットワークに接続できることにありますが、そのメリットは消費者、商用分野、産業分野で異なります。

消費者用APは、家庭の全ネットワークとなるように設計されています。インターネット、あるいは別のインターネットへの接続にかかわらず、接続する必要があるものはすべて、1台のデバイスに接続されます。

商用APは、数多くの建物からなるキャンパス全体で、膨大な数のユーザーをサポートするように設計されています。最も重要なことは、商用APの場合、世界中に広がる何千棟ものビルを対象にしている場合であっても、一元的に管理できてセキュリティを確保できるものでなければならないことです。

産業用APで、無線環境に対する要件が異なります。要件としては、さらなる無線規格への対応、屋外や広い倉庫スペースへの対応、あるいは不透過性環境への対応といったものが考えられます。

ジュニパーはアクセスポイントをどのように展開するのですか?

ジュニパーアクセスポイントは、Juniper Mist Cloudによって一元的に管理されます。この管理は、Juniper Mist Edgeで拡張できます。ジュニパーAPでは、ゼロタッチプロビジョニングを使用することで、プロビジョニングされたAPを事前に設定することなく自動的に設定できます。