Open RAN とは何か?

Open RAN とは何か?

Open RAN は、モバイル ネットワーク アーキテクチャにおける継続的なシフトであり、サービス プロバイダがさまざまなベンダーの非独占的サブコンポーネントを使用することを可能にします。Open RAN(オープンな無線アクセスネットワーク)は、通信事業者が関連機器を製造する際に準拠可能な業界の標準セットにより実現されます。Open RAN は、プログラマブル、インテリジェント、細分化、および仮想化された相互運用機能を実現します。具体的には、独自のリモート無線ヘッド(RRH)とベースバンド ユニット(BBU)が、無線ユニット(RU)、分散ユニット(DU)、集中ユニット(CU)に細分化されたもので、その多くが仮想化やコンテナ化が可能です。これらの新しいコンポーネント間のインターフェイスは、オープンで相互運用が可能です。

O-RAN アライアンスが、すべての Open RAN コンポーネントおよびコンポーネント間のインターフェイスの仕様を定義します。2018 年に設立された O-RAN アライアンスは、遠隔通信分野で活躍する世界中のモバイル ネットワーク事業者、メーカー、ベンダー、研究および学術団体からなる先進的でグローバルなコミュニティです。また、Open RAN に関連して、Open-RAN、ORAN、oran、O-RAN などの類似した用語も使用されています。一般的に、Open RAN は、複数のサプライヤから調達したネットワーク コンポーネント間における、オープン インターフェースを備え、細分化された無線アクセス ネットワークを指し、O-RAN は、O-RAN アライアンスとその活動を指します。

Open RANがサービスプロバイダーのために解決する問題にはどのようなものがありますか?

サービスプロバイダー向けの主な推進力となっている Open RAN の要素は、ベンダーの多様性の向上と、ロックインの回避です。これは、サービス プロバイダが機器やソフトウェアを供給するベンダーを 1 社に絞っている場合に起こる現象で、サプライヤの切り替えが容易でないことが原因です。現在、サービス プロバイダは、単一ベンダーのソリューションから、制御性と柔軟性が強化されたオープンなマルチベンダー ネットワークへの移行を望んでいます。

O-RANを展開することで、プロバイダーは完全にプログラマブルでインテリジェントなマルチベンダーRANへの明確な道筋を得ることができます。RAN インテリジェント コントローラ(RIC)を使用することで、プロバイダは統合型アプリケーションで RAN 機能を制御および最適化できます。具体的には、RIC はオープン無線アクセス ネットワーク(Open RAN)アーキテクチャの Software-Defined コンポーネントで、サービス プロバイダ、ベンダー、サードパーティ アプリケーションのオンボーディングを可能にします。これらのアプリケーションには「アプリストア」でアクセス可能で、サービスプロバイダが RAN の運用を大規模に自動化および最適化するのに役立ちます。また、アプリケーションは、モバイル事業者の総所有コスト(TCO)を削減し、顧客の体感品質(QoE)を向上させる革新的なユースケースをサポートします。

人工知能(AI)や機械学習(ML)技術もOpen RAN RICアーキテクチャで導入することが可能です。これらの AI/ML 機能により、より迅速で革新的なサービスや TCO の削減が可能になります。

Open RAN アーキテクチャのいくつかのメリット。

Open RAN の仕組み

レガシー ネットワークから Open RAN への進化について考えましょう。レガシーの非仮想化サイト(下の写真)では、リモート無線ヘッド(RRH)とベースバンド ユニット(BBU)が 1 つの物理位置に同居しています。RRH は送受信される無線信号を処理し、BBU はアップリンクとダウンリンクのデータ トラフィックのデジタル信号処理を促進します。BBU は、バックホール トランスポート ネットワークを介してコアに接続されます。

一部のサービス プロバイダは、ネットワークを集中型 RAN(C-RAN)と呼ばれる新しいトポロジーに進化させました。ここでは、BBU はデータ センターのような中央部にまとめられています。集中型 BBU は、フロントホール トランスポート ネットワークを介して RRH に接続されています。集中型 BBU は、電力と冷却の面で OpEx を節約し、無線ネットワークの管理を簡略化できます。これは、クラウドを介さない BBU の物理的プーリングです。

そして、vRAN や V-RAN とも呼ばれる仮想化 RAN は、BBU 機能をクラウドに移行し、制御能力を高めて俊敏性と拡張性を向上させます。

Open RAN までは、BBU と RRH 間のインターフェイスは独自で、BBU と RRH の両方を提供できるのは 1 社だけでした。Open RAN は、このアーキテクチャを細分化して、オープンなインターフェイスを導入しました。RRH や BBU の代わりに、無線ユニット(RU)、分散ユニット(DU)、集中型ユニット(CU)に機能を細分化し、それらの間をオープンなインターフェースで接続します。また、RU、DU、および CU 機能は、仮想化またはコンテナ化することも可能です。新たな要素 RIC は、ネットワークにインテリジェンスを付加します。RIC は、基本的に基地局向けのアプリ ストアです。サービス プロバイダは、RIC を利用して、サードパーティの rApp/xApp を搭載できます。これは、革新的なユースケースに対応しつつ、AI/ML 技術を使って RAN 機能を大規模に強化します。その結果、TCO の削減と QoE の向上を実現できます。 

レガシー非仮想化サイト、C-RAN、V-RAN、O-RAN アーキテクチャの図解

ジュニパーの Open RAN 実装

ジュニパーは、さまざまな業界団体や標準化団体でOpen RANの積極的な推進役を担っています。O-RAN アライアンス内 10 組の作業グループのうちの 6 組に貢献しています。また、O-RAN スライシング タスク グループの議長、ユースケース タスク グループの共同議長、複数の O-RAN 仕様書の編集者および寄稿者でもあります。

さらに、ジュニパーは、ネットワーク全体で O-RAN に準拠した製品やソリューションを提供しています。それらには以下が含まれています。

オープンで相互運用可能なRIC プラットフォーム

ジュニパーのオープンで相互運用可能なRANインテリジェントコントローラ(RIC)プラットフォームは、Open RANエコシステムのパートナーとの統合を容易にします。当社の RIC は、ジュニパーとサードパーティ rApp/xApp の両方のオンボーディングを促進します。これにより、サービス プロバイダは、新しいビジネス モデルの実現やサービス体験のパーソナライズ、および CapEx と OpEx の最適化が容易になります。

エンドツーエンドのサービス管理とオーケストレーション

当社のサービス管理とオーケストレーション(SMO)は、RAN、トランスポート、コアの各ネットワークで所定のサービスレベル契約(SLA)をサポートし、エンドツーエンド(E2E)のネットワーク スライシングを実現するように構築されています。このソリューションは、マルチクラウド、マルチドメイン、マルチテナントの導入モデルをサポートします。当社の SMO は、O-RAN SMO の要件とインターフェイス、および 3GPP のネットワーク スライシング管理機能に準拠しています。

低レイテンシおよび高信頼のフロントホールトランスポートネットワーク

O-RANフロントホールでは、エンドツーエンドで100~150マイクロ秒程度の低レイテンシと、数マイクロ秒の小さなジッターが要求されます。ジュニパーの ACX 7100 ルーターは、eCPRI や PTP パケットに優先順位を付けるタイム センシティブ ネットワーキング プロファイル A、クラス D タイミング、セグメント ルーティングや EVPN などのトランスポート機能をサポートしています。 

Connected Security

Open RAN では、CU、DU、RU、RIC、SMO などの新機能、およびそれらの間のオープンなインターフェイスが導入され、これらのセキュリティ確保が必要となります。また、RAN の細分化により、仮想化インフラをセキュリティの脅威から保護することも必要になります。ジュニパー サービスプロバイダのセキュリティは、あらゆるネットワーク接続ポイントに脅威インテリジェンスを展開することで、ユーザー、アプリケーション、インフラストラクチャを保護します。

オープンなエコシステム

オープンなネットワークでは、費用対効果の高い、オープンかつベストなインフラストラクチャを広く展開するための共同のイノベーションが必要です。ジュニパーは、楽天およびインテルと提携し、統合ルーティングと Open RAN を単一プラットフォームで提供することで、プロバイダのコストおよび運用面での利便性を高めます。また、ジュニパーとインテルは、RIC プラットフォームやアプリケーションでも協力し、カスタマーエクスペリエンスのさらなる向上、ROI の最大化、Open RAN エコシステムの迅速な技術革新を推進しています。

O-RAN アライアンスがサポートする様々なワーキング グループ。

Open RAN に関する FAQ

Open RAN にはどんな意義がありますか?

Open RAN とは、オープンな無線アクセス ネットワークのことです。特に、Open RAN は、モバイル ネットワーク アーキテクチャにおける継続的なシフトであり、サービス プロバイダがさまざまなベンダーの非独占的サブコンポーネントを使用することを可能にします。リモート無線ヘッド(RRH)やベースバンド ユニット(BBU)といった特定の独自コンポーネントは、集中ユニット(CU)、分散ユニット(DU)、無線ユニット(RU)に細分化されるようになりました。Open RAN では、新たに細分化された機能を仮想化またはコンテナ化することも可能です。O-RAN アライアンスは、これらのコンポーネント間のインターフェイスのオープン性と相互運用性を確保することで、さらに一歩進んだ取り組みを行っています。

Open RAN のメリットは何ですか?

Open RAN は、サービス プロバイダがベンダー ロックインを回避し、ベンダの多様性を促進するのに役立ちます。サービスプロバイダーは、機器とソフトウェアを単一ベンダーが提供するソリューションを無線アクセスネットワークに展開することを望んでいません。Open RAN のアプローチは、RAN Intelligent Controller(RIC)を活用することで、完全にプログラマブルでインテリジェントなマルチベンダ RAN への明確な道筋を提供します。

RIC とは何で、それが Open RAN に必要なのはなぜですか?

RAN インテリジェント コントローラ(RIC)は、Open RAN アーキテクチャの Software-Defined コンポーネントで、RAN の機能を制御および最適化します。RIC は、Open RAN 細分化の重要なパーツであり、無線アクセス ネットワークにマルチベンダー相互運用性、インテリジェンス、俊敏性、プログラマビリティをもたらします。これにより、RAN の運用を大規模に自動化および最適化するサードパーティ アプリケーションの搭載が可能になり、モバイル事業者の総所有コスト(TCO)の削減と顧客の体感品質(QoE)の向上を実現する革新的なユースケースがサポートされます。

ジュニパーは、RIC を利用するユーザーに対して、どのように Open RAN を最適化するのでしょうか?

ジュニパーの RIC プラットフォームは、自動化、制御、インテリジェンス、確実性を追求する当社のビジョンを無線アクセス ネットワークに拡大したものです。RAN ニュートラル ベンダーであるジュニパーは、オープンな RIC プラットフォームを構築し、ジュニパーやサードパーティが提供する強力な rApp/xApp を Open RAN「アプリストア」で利用可能にするというアプローチを取っています。これにより、事業者は新たなビジネス モデルを構築し、サービス体験をパーソナライズし、CapEx と OpEx を最適化できます。ジュニパーのソリューションは、Open RAN エコシステムのパートナー ソリューションとの統合を容易にするため、ノースバウンド側とサウスバウンド側にオープンなインターフェースを備えています。

リソース

ソリューション

Big 5G Event:Open RANにおけるE2EネットワークスライスオーケストレーションとSLAの提供(英語)