ネットワークの自動化を可能にするJUNOS OS

データシートのダウンロード

製品概要

Junosオペレーティングシステムは、大規模ネットワークの自動化を可能にする、セキュア且つオープンでプログラム可能なネットワークOSです。 ジュニパーのルーティング、スイッチング、セキュリティ製品群のコアコンポーネントである最先端のネットワークOSが、サービス展開に伴う煩雑な手動タスクを排除し、運用効率とサービスの俊敏性を総合的に向上させます。 Junos OSは、オープンなプログラム型プラットフォームとしても機能し、サービスプロバイダ、エンタープライズ、開発者のビジネスイノベーションを加速させます。

Smart city and internet line in blue tone, wireless communicatio

製品説明

マーケット環境は絶えず変化しています。クラウドネイティブなアプリケーションへの依存度の高まり、地理的に分散したデータセンターや支店の継続的な増加、IoT(Internet of Things)や5Gテクノロジーの登場により、ネットワーク環境への要求は増加しており、ネットワークの設定、統合、管理を簡素化する必要性が高まっています。 サービスプロバイダやエンタープライズはネットワークプロセスを自動化し、サービス展開の効率化、多様で増大するネットワーク機器と拠点間で一貫したリアルタイムなネットワーク分析を可能にするオペレーティングシステムを必要としています。

ジュニパーネットワークス ® の Junos ® オペレーティングシステムは、物理および仮想のスイッチング、ルーティング、セキュリティ製品を含むジュニパーの幅広いポートフォリオを支える単一のネットワークOSです。Junos OSは、オープンなプログラマビリティとインテントベースな自動化フレームワークを基本理念に構築され、制御、管理、データのプレーンを明確に分離した初めてのモジュール型ネットワークOSです。また、オープンインターフェイス、汎用性の高いスクリプトサポート、オープンソースフレームワークを備えた最初のネットワークOSでもあります。サービスプロバイダ、エンタープライズ、開発者は、複雑なネットワーク運用を自動化してサービスの俊敏性を向上させるDevOpsのアプローチの導入が可能になります。

モジュラー設計を採用するJunos OSには、仮想化と最適化のイノベーションで市場をリードするJunos Node Slicingが搭載されています。 Junos Node Slicingは、制御と管理を分離した上で、基盤となるネットワークインフラストラクチャからネットワークソフトウェアを切り離します。これにより、単一のシャーシ上で同時実行可能な複数のネットワーク機能を統合できます。その結果、ネットワーク使用率は最大化され、顧客満足度の高いセグメント化されたサービスが可能になります。

アーキテクチャと主要コンポーネント

Junos OSは、次の主要な自動化コンポーネントで構成されています:

  • 自動化フレームワーク:Junos OSは、Puppet、Chef、Ansible、Salt などの幅広いオープンソースの自動化フレームワークに対応しています。これにより、JunosOSを搭載したネットワークデバイスとネットワークシステム管理を行うインフラストラクチャのシームレスな統合が可能になります。 Junos OSは、ジュニパーが開発したPython用マイクロフレームワーク「PyEZ」にも対応しており、リモートで自動のデバイス管理が可能になります。
  • プログラマビリティ:Juniper Extension Toolkit(JET)APIはシンプルなフレームワークと豊富なAPIにより、制御、管理、データプレーンサービスへ、シームレスでプログラム可能なアクセスを提供します。 JET APIは、Junos OSのリリースから切り離されているため、Junos OSデバイスやJunos OSデバイスに接続された外部サーバーであるかに関係なく、ジュニパー製品全体で一貫して使用できます。
  • テレメトリ:Junos OSには、拡張性の高い分散型ネットワーク分析エンジンであるJunos Telemetry Interface(JTI)が搭載されており、正確なリアルタイムのネットワークデータやイベント状態の収集、集約、ストリーミングを可能にします。 JTIは、最小限の人的操作で、リアルタイムのネットワーク統計とイベントに基づいて潜在的な問題を特定、分離、解決するために必要なネットワークの可視化の強化を実現します。
1000616-fig1

図1:分散型Junos OS ソフトウェア

  • オープンデータ モデル:Junos OSは開発当初から後にYANGとなる言語を内部で利用し、設定や動作状態のモデル化を図ってきました。YANGはデータモデリング言語として利用されている一方で、Junos OSが業界に先駆けて開発した伝送技術であるNetwork Configuration Protocol(NETCONF)に関しても事実上の業界標準となっています。 Junos OSは、設定オブジェクトのモデル化のためにYANGをサポートしているだけでなく、標準化されたYANGモデルやOpenConfigもサポートしています。
  • Junos Continuity:ダウンタイムの主な発生原因として、ラインカードなどの新しいハードウェアをデバイスに装着するたびに、ネットワークOSのアップグレードが必要になることが挙げられます。これらのアップグレードとそれに伴う再起動は、常に既存のサービスに影響を与えます。Junos Continuityは、高いネットワーク可用性を保証するプラグアンドプレイアプローチを提供します。新しいラインカードの挿入をサービスに影響しないイベントとすることで、デバイスの再起動を防ぎます。
  • Junos Node Slicing:Junos Node Slicingは、同一物理インフラストラクチャ上で同時実行可能な複数のネットワーク機能を統合します。これにより、サービスプロバイダーは、インフラストラクチャを最適化しながら、単一シャーシにおける運用と管理の分離を強化し、差別化したサービスの提供が可能になります。ネットワークソフトウェアを基盤となるインフラから切り離すことで、Junos Node Slicingは、サービス展開の迅速化、設備投資の削減、運用効率の向上を実現します。

特長とメリット

収益の増加

Junos OSのプログラマビリティと自動化機能により、サービスプロバイダやエンタープライズはビジネスに不可欠なサービスを自動化することができます。 これにより、限られたリソースをイノベーションやユーザーエクスペリエンスの最適化に充てることができ、結果として顧客満足度とブランドロイヤリティを向上させることができます。Junos Node Slicingは、ネットワークインフラストラクチャを最適化し、単一シャーシ上で同時実行可能な複数のネットワーク機能を統合します。その結果、運用効率とトップラインの成長機会を劇的に向上させることができます。

コスト効率

Junos OSは、ネットワーク導入時における全体的なコスト効率を改善します。Junos Node Slicingは、単一シャーシ上で同時実行可能な複数のネットワーク機能を統合します。その結果、ネットワークノードの使用率は最大化され、設備の投資効率を改善することができます。OpEx(事業運営費)の効率化は自動化により実現します。従来のネットワークの設定、管理、運用で必要だった膨大な手動プロセスを自動化することでネットワーク運用は大幅に簡素化し、ヒューマンエラーを事実上排除することができます。

俊敏性

絶えずダイナミックに変化する市場を反映して、ビジネス要件も変化し続けています。Junos OSがサポートするプログラマビリティとオープンソース自動化フレームワークにより、サービスプロバイダやエンタープライズは、カスタマイズしたネットワークサービスを迅速に実装し、ビジネスに不可欠なアプリケーションを展開することが可能です。

特長 メリット
Junos Node Slicing 単一シャーシ上で同時実行可能な複数のネットワーク機能を統合します。これにより、サービス導入の迅速化、設備投資の削減、運用効率を向上させることができます。
幅広いオープンソース自動化フレームワークとシームレスに統合 複雑なネットワーク運用と、ビジネスに不可欠なサービスの自動化を可能にするDevOps アプローチを実現します。
Juniper Extension Toolkit (JET) API コントロールプレーン、マネージメントプレーン、データプレーンにオープンなアクセスを実現するシンプルで、プログラム可能なフレームワークを提供します。
Junos Telemetry Interface(JTI)は拡張性に優れた分散型ネットワーク分析エンジン 正確でリアルタイムなネットワークデータをストリームすることで確実なサービスを提供します。可視性が向上し、最小限の人的操作でリアルタイムのネットワーク統計とイベントに基づいた潜在的な問題の特定、分離、解決が可能となります。
Junos Continuity 新しいハードウェアをプラグアンドプレイで追加できます。ネットワークアップデートに伴うデバイスの再起動が不要になり、サービスに影響を与えません。

高可用性

Junos OSの高可用性(HA)により、サービスプロバイダーや企業は、メンテナンスウィンドウの延長や、サービスへの影響が長期化するのを防ぐことができます。Junos Continuityは、ラインカードなどの新しいハードウェアをインストールする際に必要だったデバイスの再起動や、ネットワークOSのアップグレードを不要にします。Junos Selective Updateを使用すれば、ユーザーは、サービスを中断することなく、ジュニパーデバイスで実行中のJunos OSのバージョンに対応したパッチ(ホットフィックス)を適用できます。

高性能

Junos OS は、完全な対称型マルチプロセッシング(SMP)に対応しているため、ルーティングエンジン上のすべてのCPUコアを活用することができます。その結果、ネットワークデバイスのマルチコア機能と高い柔軟性や拡張性を備えた強力なネットワークインフラストラクチャが実現します。

セキュリティ

Junos OSには、ネットワークの脆弱性を最小限にする高度なセキュリティ機能が数多く搭載されています。セキュアブート機能は、Junos OSデバイスが、認証済みで改ざんされていないJunos OSで起動されているか確認します。また、デバイスが、改ざんされていないイメージで起動されているか確認します。内蔵されているセキュリティ機能は、ソフトウェア開発において安全で信頼できる一連の流れを提供します。これにより、工場から拠点までデバイスの整合性を保つことができます。

仕様

Junos OSは、包括的な自動化機能を備え、オープンソースフレームワークや標準プロトコルに対応しています。次に示すジュニパー製品のポートフォリオ全体で自動化機能とオープンソースが利用できます。ジュニパーネットワークスMXシリーズ3Dユニバーサルエッジルーター、PTXシリーズパケットトランスポートルーター、ACXシリーズユニバーサルアクセスルーター、EXシリーズイーサネットスイッチ、QFXシリーズスイッチ、SRXシリーズサービスゲートウェイ、T Seriesコアルーター。

Junos自動化スクリプト

Junos自動化スクリプトの構成概要:

  • 運用スクリプト:オンデマンドで運用タスクを指示します
  • イベントスクリプト:システムイベントに応じたアクションの実行をJunos OSに指示します
  • コミットスクリプト:コミット時またはコミット中にJunos OSにアクションの実行を指示します
  • SNMPスクリプト:カスタムMIB をサポートするのに必要な柔軟性を提供します

Fast Programmatic Configuration(eDB)

プラグラム設定に使用される高速で超低遅延のデータベース、eDBは、Junos OSに常駐し、外部で検証および監視されているプログラム変更の補助を行います。 同様に、SDNコントローラーと外部アプリケーションもこの高速チャンネルを利用して、Junos OSを搭載したデバイスのコントロールや、データプレーンの設定を変更することができます。

gRPC

gRPCはリモートプロシージャーコールを処理するため、Googleにより開発、使用されているオープンソースなBSDライセンスのHTTP/2RPCフレームワークです。gRPCを使用すれば、多くの一般的なプログラミング言語やプラットフォームで、高性能で拡張性があるAPIやマイクロサービスの作成が容易になります。

HTTP(s)

HTTP は、インターネットリソースやWebブラウザクライアントのアプリケーションの通信で広く使用されているプロトコルです。HTTPsにより、暗号化された接続による通信が可能になります。

Juniper Extension Toolkit

Juniper Extension Toolkit(JET) は、Junos OSのプログラミングをシンプル、柔軟、拡張可能にする次世代ソリューションです。JETのベースとなっている4つの基本コンポーネントは、 JET API、Python、 JavaScript Object Notation(JSON)、Fast Programmatic Configuration(またはeDB)です。

JET API

JETで提供されるAPIのセットは、JETをサポートするすべてのJunos OSで一貫性のある動作をします。JET APIは言語に依存せず、あらゆるプログラミング言語でアクセスが可能です。JET APIを使用して開発されたアプリケーションはバイナリ互換もあり、JETをサポートするJunos OSリリースが搭載されたすべてのプラットフォームで実行可能です。

Junos Snapshot Administrator(JSNAP)

Junos Snapshot Administratorは、Junos OSが動作するネットワークデバイスのランタイム環境をキャプチャして監査します。デバイスのステータスをキャプチャ・検証することで、ネットワークのステータス確認を自動化します。 テスト前後の環境のスナップショットを取得し、提供されたテストケースと比較します。 このスナップショットは、デバイスのランタイム環境を、事前定義した基準に照らし合わせて監査する際にも使用されます。JSNAP は、Stylesheet Language Alternative Syntax(SLAX)バージョンのツールです。

Pythonを使用したJSNAP(JSNAPy)

JSNAPy は、上記のJSNAPツールのPythonバージョンです。

JavaScript Object Notation(JSON)

JSONは広く使われ標準となっているデータ交換書式で、デバイスとアプリケーション間においてシンプルで軽量な情報伝達を可能にします。 いくつかのプログラミング言語に対するネイティブサポートを強化するために、Junos OSの操作コマンドは、JSON形式で出力することができます。Junos OSの設定入力も、JSON 形式で提供することができます。

Junos Telemetry Interface

Junos Telemetry Interface(JTI)は、ジュニパーのネットワークプラットフォーム上で動作する高頻度なテレメトリ出力機能で、ネットワークのパフォーマンスと障害管理を最適化するために用いられます。

Junos User Interface Scripting Environment

Junos User Interface Scripting Environment (JUISE)は、Junos OSを搭載した機器を対象としたSLAXスクリプトの開発とテストを可能にするツールセットです。ユーザーは、自分のデスクトップ環境でスクリプトを開発し、より使い慣れた設定で必要なコーディング、テスト、デバッグを繰り返すことができます。 デバッガ、プロファイラー、コールフロートレースメカニズム、トレースファイルなどの開発者向けのツールが用意されています。

Jxmlease

Jxmleaseは、XMLをインテリジェントなPythonのデータ構造に変換するPythonモジュールで、その逆の変換も可能です。

NETCONF

NETCONFは、ネットワークデバイスの設定をインストール、編集、削除する通信プロトコルで、IETFによって定義されています。

NETCONFライブラリ

NETCONFライブラリは、XMLベースのデータエンコーディングやSSHトランスポートに対応しており、Python、Ruby、PHP、Java、Go、Perlなどの言語で実装されたRPCにも対応しています。

OpenConfig

OpenConfigは、ネットワークオペレーターの非公式なワーキンググループです。ユースケースからの現実的な運用ニーズと、複数のネットワークオペレーターからの要件に基づいて、ベンダーに依存しない一貫したデータモデルセット(YANGで記述)をコンパイルすることに重点を置いています。

PyEZ

Junos PyEZは、Junos OS搭載デバイスをリモートで管理・自動化するためのPython用の「マイクロフレームワーク」です。

Python

Junos OSではPythonがネイティブサポートされており、ユーザーは運用、イベント、設定のコミットスクリプトをPythonで開発し実行することができます。

Representational State Transfer(REST)API

Junos OS REST APIは、ユーザーがJunos OSデバイスに安全に接続し、リモートプロシージャコールの実行を可能にするインターフェイスです。REST API ExplorerのGUIを使用すれば、あらゆるREST APIを簡単に試すことができ、JavaScript Object Notation(JSON)を含む様々なフォーマットや表示オプションを利用することができます。 RESTのアプリケーションレイヤープロトコルには、 HTTPが使用されています。

RubyEZ

Junos XMLに関する特別な知識がなくても、RubyEZフレームワークでJunos OSデバイスの管理を自動化することができます。

Stylesheet Language Alternative Syntax

SLAXは、Junos OSの運用スクリプト、イベントスクリプト、コミットスクリプト、SNMPスクリプトを記述するための言語です。

サードパーティプラットフォームとツール

Ansible、SaltStack、Chef、Puppetは、ネットワーク環境を継続的デリバリーの概念に近づけるITプロビジョニングツールです。Junos OSの自動化は、これらのツールすべてに対応しています。

  • Ansible:マルチノードソフトウェア の導入、臨時的なタスクの実行、設定管理を統合したフリーソフトウェアプラットフォームです。Ansibleは、オンボックスエージェントを必要とせず、プロキシモードで動作します。
  • SaltStack:単一コマンドで同時に複数のデバイスをリモートで設定可能にするツールです。SaltStackは、オンボックスのエージェントを必要とせず、プロキシモードで動作します。
  • Puppet:UNIX系システムやMicrosoft Windowsで動作するオープンソースの設定管理ツールで、システム設定を記述する独自の宣言型言語を備えています。
  • Chef: 新しいサーバーのプロビジョニング、設定、メンテナンスのプロセスを自動化し、クラウドベースのプラットフォームとの統合を可能にするITプロビジョニングツールです。

XML/XSD

Extensible Markup Language(XML)は、人間と機械の両方が読み取れる形式で文書をエンコードするためのルールを定義しています。また、XML Schema Definition(XSD)は、XML文書のエレメントの記述方式を規定するWorld-Wide Web Consortium(W3C)より推奨されています。

YANG

YANGは、標準ベースの拡張可能な階層型データモデリング言語です。NETCONFの運用、リモートプロシージャコール(RPC)、サーバーのイベント通知で利用される設定とステートデータのモデル化で使用されます。

ゼロ タッチプロビジョニング

ゼロタッチプロビジョニング(ZTP)により、ネットワーク内の新しいJunos OSデバイスを、手動操作なしで自動的にプロビジョニングすることができます。 初期設定のデバイスがネットワークと物理的に接続されると、ZTPは自動で、Junos OSソフトウェアのアップグレードとネットワークからの設定ファイルのインストールを試みます。

ジュニパーネットワークスのサービスとサポート

ジュニパーネットワークスは、高性能ネットワークの高速化、拡張、および最適化を実現する高度なパフォーマンスサービスに対応するリーダーです。 当社のサービスをご利用いただくことでコストを削減し、リスクを最小限に抑えながら、業務効率を最大限に高めることが可能となり、ネットワークへの投資から早期に収益を図ることができます。 また、ネットワークを最適化することで、必要なパフォーマンスレベルや信頼性、可用性を維持し、卓越した運用を実現します。詳細については、https://www.juniper.net/jp/ja/products.htmlをご覧ください。

ジュニパーネットワークスについて

ジュニパーネットワークスは、ネットワーク運用を劇的に簡素化し、エンドユーザーに最上のエクスペリエンスを提供することに注力しています。 業界をリードするインサイト、自動化、セキュリティ、AIを提供する当社のソリューションは、ビジネスで真の成果をもたらします。 つながりを強めることにより、人々の絆がより深まり、幸福、持続可能性、平等という世界最大の課題を解決できるとジュニパーは確信しています。 

 

1000616 - 004 - 英語 2021年2月