Self-Driving Network™

優れた運用効率、信頼性、適応力

2004 年、数台の無人自動車がモハーベ砂漠を横断する長距離コースのスタート地点に集結しました。DARPA グランド チャレンジの幕開けです。歴史的にも、このイベントから実用的な自動運転車の技術開発レースが始まり、世界を巻き込む大きな動きとなりました。今日でもその勢いは衰えていません。

自動車分野と同様に、ネットワーク分野においても、すぐに運用可能で経済的にも実現可能な Self-Driving Network™ に向けて私たちはすでに歩み始めています。自動運転車の進歩から得た教訓は、ネットワーク テクノロジの進化にも応用することができます。自律ネットワークの時代は目前に迫っています。人工知能、機械学習、インテント駆動型ネットワークの進歩によって、自動化から自律化に移行する準備が整いました。

一方、ネットワーク業界のコミュニティでは、経済的に持続不可能な現在のネットワークの問題を打開する革新的なアイデアが渇望されています。トラフィックが爆発的に増加し続け、新しいデバイスが次々と登場するにつれて、現代のネットワークの運用は急激に複雑さを増しています。運用コストが上昇し、利益を生むまでの期間が長くなったことで、従来型のサービス プロバイダの利益が縮小し、企業としての成長も抑制されています。

ジュニパーでは、こうした問題の解決策が Self-Driving Network の形となって登場すると見ています。Self-Driving Network とは、ネットワーク トラフィックの種類やボリュームに関わらず運用上の複雑さを解消するパラダイムです。

予想と適応の先にあるもの

Self-Driving Network によって、IT 担当者の負担が軽減されます。Self-Driving Network では、ネットワーク自身が設定、監視、管理、修正、防御、分析を行い、手動による操作は最小限で済みます。環境の予測と適応が可能で、エンド ユーザーや状況に合わせて最適化やパーソナライズ化を行います。

現在のネットワークでは、トラフィック が急増しても、レディ・ガガの新しいアルバムを大勢がダウンロードしているのか分散型 DDoS 攻撃が発生しているのか、区別することは困難です。Self-Driving Network では、トラフィックの挙動を示す膨大な量のデータを分析する機械学習アルゴリズムを使い、ユーザーが影響を受ける前にパフォーマンス上の問題を予測します。この例では、Twitter フィードを分析するアルゴリズムとの関連性を見ることで、ハッキング グループが特定企業に攻撃をしかけていたのか、レディ・ガガのアルバムを数週間にわたって切望していたファンの存在がトラフィックの急増つながったのか、仮説を確認することができます。それに応じて Self-Driving Network が分析・適応し、ポートを遮断して DDoS 攻撃を隔離すべきか、帯域を増やしてアルバムをダウンロードするトラフィック の急増に対応すべきかを判断します。

自動化、強化、そして自律化へ

ネットワークの進化は、自動化とプログラム可能性に始まり、テレメトリと機械学習、インテント駆動型ネットワーク、ローカルおよびグローバルの認識という 4 つの技術領域の統合と進歩を通じて発展してきました。ジュニパーでは、その最終形態が Self-Driving Network であると考えています。

これまで、ジュニパーは自動化とプログラミング機能を重要な検討事項としてハードウェアとソフトウェアの開発を推進してきました。すでに、トポロジーの検出、パス計算、パスのインストールの自動化に成功しています。Junos® OS の Juniper Extension Toolkit(JET)を使用すると、サードパーティー製アプリケーションで多くのタスクを自動化できます。たとえば、帯域幅の予約はすでにトラフィックの変化に対応することができますが、それをもっとスマートにすることができるでしょうか? JET が私たちの進歩を後押しします。

Junos Telemetry Interface では、短波テレメトリ データをパフォーマンスの監視および最適化ツールに配信しています。しかし、プル型テレメトリである SNMP や単純なディープ パケット インスペクションには限界が見え始めています。Self-Driving Network の実現には、プッシュ セマンティックをベースにしたテレメトリや機械学習をベースにした異常検知が必要です。

機械学習はデータのインプットから繰り返し学習するアルゴリズムを使用しています。「X が発生したら Y を実行する」というルールベースの静的ネットワーク プログラミングとは異なり、機械学習のアルゴリズムはデータの中からパターンを認識し、予測して適切な対策を取ります。プログラミングは不要です。このような予測型分析は、すでにヒューリスティック アルゴリズムを活用したジュニパー製セキュリティ製品で使われています。ネットワークのアルゴリズムに投入するデータが多いほど、ネットワークは賢くなり、インテント駆動型インフラストラクチャに向けた基盤が整います。

インテント駆動型インフラストラクチャは従来の「X が発生したら Y を実行する」型のプログラミングとは正反対です。この場合、人がネットワークに何を実行するかを指示しますが、そのための方法を指示する必要はありません。インテント駆動型の機能はすでにジュニパー製品に搭載されています。NorthstarContrail などの SDN コントローラーには高度なインテント駆動型仮想ネットワーク機能が搭載されています。また、最近ジュニパーが買収した AppFormix でも、テレメトリや Software Defined Infrastructure やアプリケーション レイヤーに対応したクラウド運用管理の定義を変える、インテント駆動型コマンドと機械学習テクノロジが使用されています。

「ネットワーク設計者は必要なことを記述し、ネットワーク管理ソフトウェアはそうした要件を解釈して設定する。インテント駆動型ネットワークはそうしたことが可能になる重要な進化であり、Self-Driving Network の基礎として重要な役割を担うでしょう。このインテント駆動型機能を SDN 管理制御ソフトウェアに組み込んでネットワークの設定と運用を自動化することは至上命題です」と、IHS Markit 社クラウドおよびデータ センター リサーチ担当シニア リサーチ ディレクター兼アドバイザーのクリフ・グロスナー氏は言います。

ローカルでの監視やネットワークのビューの重要性は今後も変わりませんが、グローバルでの監視が向上すると、自律ネットワークでは対応しきれない効率化と最適化を推進できます。ローカルおよびグローバルのビュー、時間、地理的条件、ネットワーク レイヤー、BGP ピアの情報を関連付けることで、これまで以上に多くのインサイトが生まれ、こうしたインサイトによって顧客やアプリケーションのネットワーク需要の予測精度が高まります。

人工知能にとどまらない「拡張知能」

自動化や人工知能テクノロジの進歩と聞くと、ロボットに仕事を奪われることを懸念する人がいるかもしれません。日常的な仕事はロボットが行うようになるのは避けられないとしても、テクノロジが持っている性質を考えると、仕事はなくなるどころか増えていくでしょう。ビジネスの世界では、今後もネットワークを監視したりロボットの設計や監督をする人が必要とされるでしょう。ネットワークの仕組みを理解して人工知能を育成する人材やネットワークの管理やアルゴリズムの修正ができるエキスパートは欠かせないのです。

Self-Driving Network ができるのは、ネットワーク担当者を繰り返し発生する作業から解放することだけです。IT 部門がパフォーマンスに関わる問題のトラブルシューティングに割く時間は少なくなり、戦略に関わる仕事やビジネスを安定化してさらに拡大するのに役立つイノベーションに多くの時間を費やせるようになります。モノのインターネットの勢いが加速するに従って、急激に増加する受信データを理解できるエンジニアの需要が高まるでしょう。通常のトラフィックはSelf-Driving Network が除去するので、IT 部門は異常なトラフィックや予期せぬトラフィック、危険なトラフィックに注力することができます。

DARPA グランド チャレンジに参加した無人自動車のように、私たちはネットワーク業界におけるパラダイム シフトの入り口に立っています。抽象化、簡素化、ネットワークの複雑さの解消は、私たちの新たなグランド チャレンジであり、その道なき道を共に進むのが Self-Driving Network なのです。

ジュニパーは、自律ネットワークの基盤づくりのために、自動化と分析の開発に多額の投資をしてきました。サービス プロバイダ、クラウド事業者、企業を対象とした Self-Driving Network 実現の第一段階として、自動化とプログラミング機能に取り組んでいます。推進要因、テクノロジ、自律ネットワークへのロードマップの詳細については、この記事のリソースを参照してください。