SD-WAN で一歩先を行く

変わりゆく WAN 市場でサービス プロバイダが成功するための戦略

SD-WAN(Software-Defined WAN)用ソフトウェアは、WAN の複合リンクをまたがったネットワーク トラフィックを顧客のポリシーに応じて動的にルーティングします。IP MPLS VPN を迂回して各支店からクラウドに直接トラフィックを確保したい企業の間では、この機能に対する関心が日増しに高まっています。一部の企業にとって、そうしたトラフィックのために MPLS の拡張機能とサービス保証にコストをかけることが難しくなってきているからです。

SD-WAN 市場が 2020 年までに 60 億ドル1に達するという IDC の予測に基づけば、IP MPLS VPN によるプロバイダの収益の多くが新たな WAN サービスに取って代わられることが考えられます。言うまでもなく、プロバイダはこのことについて憂慮しています。

しかしサービス プロバイダには、幸いにも既存の顧客基盤を維持しつつ、SD-WAN のビジネス チャンスを存分に活用するという選択肢が残されています。この分野で成功を収めるには、サービスを戦略的に位置付け、SD-WAN などの高価値マネージド仮想ネットワーク サービスに対応するオープンな仮想プラットフォームを導入する必要があります。

トレンドの収益化

ジュニパーネットワークスでは、SD-WAN を既存の IP MPLS VPN サービスに統合することで、プロバイダが成功を収めるものと確信しています。SD-WAN は、支店や他の顧客サイトの仮想化対応 CPE で動作します。そして顧客ごとに特化したポリシーにより、IP MPLS VPN、ブロードバンド インターネット、無線、その他の接続サービスを含む WAN を介したトラフィックを最適にルーティングする方法が特定されます。

既存のサービス プロバイダは、SD-WAN を積極的に導入し、これを IP MPLS VPN への拡張機能として位置付けることができます。緊密に統合された WAN 回線の通信サービスをバンドルで提供し、SD-WAN サービスでこれらの通信の動的なルーティングを実現してください。さらに、フル ソリューションを提案することで、既存顧客へのアプローチで先手を打ちましょう。

この戦略により、競合他社が既存の顧客を奪う前に、MPLS の収益を部分的に保護しながら SD-WAN のビジネスを徐々に拡大していくことができます。さらに、SD-WAN サービスを実装した仮想 CPE は、最新の自動化されたプラットフォームにより、企業が求めるその他多くのマネージド サービスを提供することができます。

漸増するビジネス チャンス

IP MPLS VPN は、データ センターを始めとするネットワークの特定のセグメントにおいて、今後も顧客企業により利用されます。プロバイダにとって最もスタンダードな戦略は、SD-WAN ビジネスを漸次増加させつつ、MPLS による収益の一部を保護することです。SD-WAN は、独立した WAN リンクの集合体に、動的でアプリケーション認識型のルーティングという付加価値を加えます。そして、サービス プロバイダはこれに課金することができます。

純粋に帯域幅という観点から見てみましょう。顧客企業は 20-Mbps の IP MPLS VPN サービスを必要な場所に配置し、既存のサービス プロバイダでデータセンターを主要な支社に接続できます。サービス プロバイダは、SD-WAN と、企業の支店をクラウドに接続する追加の 100 Mbps によるブロードバンド サービスに基づいて、ビジネスを拡大することができます。このソリューションにより、帯域幅が大幅に拡大するだけでなく、顧客の満足度もアップします。YouTube のバッファリングや、クリティカルなアプリケーション向けトラフィックの輻輳とは無縁になります。

テクノロジの実現可能性と新たなコスト構成を見据え、同じ顧客企業が、SD-WAN を使った真のブロードバンド接続で複数の小規模支店をつなぐことを考慮することも考えられます。顧客企業は必要な通信を低価格で利用し、プロバイダはビジネスを漸次拡大していくことができるのです。

プロバイダが SD-WAN を導入せずに IP MPLS VPN を引き続き提供する場合、どのような事態が生じるでしょうか。SD-WAN の動的ルーティングを含む混合 WAN サービスを求める企業は、その全要求を満たした他社サービスを導入してしまうかもしれません。プロバイダは、SD-WAN からもたらされる新たな収益だけでなく、既存の顧客のビジネス全体を失ってしまうことになるのです。

高収益をもたらす俊敏なプラットフォーム

ジュニパーネットワークスでは、サービス プロバイダの SD-WAN 戦略を、ネットワークのトランスポートの枠にとどまらない、包括的な収益源として捉えています。また、サービス プロバイダにとって不可欠なことは、高い収益を生む多様なサービスを導入することであり、そのうちの 1 つが SD-WAN であると考えています。SD-WAN は、動的なパス選択だけでなく、直感的な顧客ポータルなどを経由した、WAN のパフォーマンスやネットワーク分析に対する今まで以上に優れた可視性を顧客企業に提供します。これにより、顧客企業のエンゲージメントやロイヤルティが向上します。

ビジネス チャンスはこれだけではありません。顧客企業は通信に付随する、マネージド セキュリティ サービスやその他のネットワーク インフラストラクチャ サービスも必要としています。IDC の調査2によれば、今後 12 ヶ月以内に 50% 以上の IT 部門がマネージド ファイアウォール サービス市場の対象となり、30% の IT 部門が WAN アクセラレーション サービスを契約する準備があると答えています。サービス プロバイダはネットワーク機能仮想化(NFV)を使用して、SD-WAN とともにこれらのサービスを仮想 CPE プラットフォームで階層化することができます。

追加のマネージド エンタープライズ サービスを構築することは、既存および新規のサービス プロバイダが自社の SD-WAN を差別化するうえで重要です。NFV を使用すれば、プロバイダはこの差別化を即座に実現できます。この際、顧客の要求に応じたサービスや機能を自動的に実行できます。このような拡張機能がなくても、SD-WAN 単独でコモディティ サービスを即座に実現できます。

オープンな仮想化 CPE プラットフォームが、顧客の要求するサービスを提供するうえでの鍵となります。CPE プラットフォームによっては、SD-WAN および NFV サービスの導入が仮想 CPE ベンダーに限られている場合があります。ジュニパーネットワークスでは、サービス プロバイダは複数ベンダーの仮想ネットワーク機能(VNF)を実行し、顧客のニーズに合ったサービス オプションを提供できるようにする必要があると考えています。

変化を受け入れる

サービス プロバイダの将来は、新たなネットワーク要件とトレンドによって形成されます。ボイスオーバー IP が従来の音声技術に取って代わり、収益を奪った時、この技術を恐れることなく受け入れたいくつかのサービス プロバイダが、音声市場でどのような成功を収めたかを考えてみてください。現在のプロバイダも同様に、付加価値を備えた仮想サービスを導入することで、他社サービスに対して優位に立つことができるのです。

IT の複雑性が緩和されたサービスを選択することは、今や企業のトレンドです。顧客企業は、低コストで支店とクラウドをつなぎ、新たなマネージド サービスと分析機能を提供できるシンプルなソリューションを求めているのです。顧客企業は、優先度の高いデータ センターのトラフィック向けに、ビジネスグレードの MPLS リンクをエンドツーエンドのサービスレベル保証とリンクさせることを望んでいます。

ネットワークにおけるこれらすべての要素を、統合されたマネージド ソリューションとして提供できるプロバイダは、顧客企業との関係を深める際に、このソリューションを選択すべき正統な理由を顧客企業に提示できることになります。結果としてプロバイダは、顧客の絶対的なロイヤルティと将来にわたる収益源を確保できるはずです。

ジュニパーネットワークスは、次世代のエンタープライズ WAN の登場を見越して SD-WAN テクノロジへの投資を重要視しています。そして、サービス プロバイダが提供できる最も優れたソリューションは、オープンで、きわめて高いパフォーマンスを持ち、セキュリティが内蔵され、現行の IP MPLS VPN サービスに統合できるものであると確信しています。

このソリューションの開発方法の詳細については、この記事のリソースでご確認ください。

1 IDC、クラウドおよび WAN 効率性の SD-WAN への移行Doc # US41101416, 2016 年 3 月

2 SD-WAN に関する全世界における IDC 調査の特別報告、2016 年 5 月